《トンボ・コレクションの由来》

 トンボ・コレクション……といっても、トンボの種類の標本箱ではありません。すっかり別の思い込みでこの部屋を覗いてしまった方も、まずはお付き合いください。
 戦後、繊維産業華やかなりしころ、当時の森林株式会社(本社・愛知県一宮市)では糸の登録商標にトンボを使っておりました。
 そしてその発行する商報にトンボ随想を連載しようと企画したのが現在社友であるI氏であります。文学青年のまま仕事熟年となり忙しい中でも特別夢中になった仕事だったと、今や文学老年のI氏は回想します。
 これは昭和29年(1954年)2月、作家森田たま女史に始まり、寄稿者は文学、科学、芸能など各界にわたっています。
 いただいた原稿をそのまま印刷屋さんに回せば、活字を拾う(昔話ですね!)手で汚してしまう、それを恐れて、一枚一枚書き写してから渡したといいます。
 そのおかげで、時間の染みこそつきましたがきれいなまま保管されていたナマ原稿を、この機会に広く皆様に見ていただければとPippo-Jp.comに参加していただきました。
 商報の連載は48回続きました。順次お披露目したいと思っています。
 今はワープロでお仕事をされる物書きの方がずっと多く、こうした原稿も珍しいものになっていくことでしょう。
 転載を快くご了承くださいました繊維総合商社モリリン株式会社(旧森林株式会社)に心より感謝御礼申しあげます。
 なおカットの写真は商標にちなんでのI氏のコレクション、何でもありのトンボたちです。
セトモノ市で手に入れられるものから、特別にお願いしてようやく手許に来たものまで、いろいろですが、いわゆるオタカラにはならないとのこと、また、トンボ随想とは直接関係ありません。(1999年5月)

追伸:1999年7月25日、このページの開設を何よりも喜んでいたI氏は、92年の生涯を終えました。死の直前まで、その旺盛な読書欲は衰えることはありませんでした。彼の想い出のためにも、48人の方々から寄せられた貴重な随想集の展示を完遂しなければなりません。【2000年1月】

 

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